20240202 ポイ捨てゴミについて思うこと

SDGs考

はじめに

今回は、樹木の紹介や考察ではなく、日常的に見かけるポイ捨てゴミについて様々に思うことについて述べます。道端に打ち捨てられたゴミ、タバコの吸い殻、食品の包装袋、ペットボトルや空き缶、そしてファーストフードの商品を複数の紙袋にまとめて、それらを入れたプラスチックバッグ、同様に食べ終わった容器がつまったコンビニ袋のようなこうした物々を、都市部に生活する方は、日々目にしていることと推測します。困ったものです。このゴミ問題、考えていくと問題が深いのではないかと思われます。

どうしてゴミは捨てられるのか

外出した時に出たゴミを持ち帰って家で処分する人にとって、ゴミを何気なく道端に捨てるような習慣の人の行動規範は不思議に思えるでしょうし、飲み終えた空き缶をカバンに入れて持ち帰る人の行動を、「面倒くさい奴」と疎んじる人もいるでしょう。世の中様々です。

結局のところ、所構わずゴミを捨てる人と捨てない人との行動規範を決めているのは、各人の考え方が根っこにあります。つまり、その人がどのような”ソフト”を採用しているのか? ということです。というか、ゴミを捨ててしまう人は、ゴミを捨てるという行為について、客観視する “ソフト”をインストールしていないと考えられます。

ゴミの扱いに見られること

動物の行動規範として、廃棄するものを捨て去ることがデフォルト的行動、動物として元来刷り込まれている行動であるように思えます。遡上するサケをクマが捕獲し美味しい箇所を数回齧って、サケの残骸をその場に捨てています。サルの行動を見ていても、木の実を食べながら、外皮や殻を破って中身を取り出して、皮や殻はその場に捨てて実や果肉などを食べます。人間に目を転じれば、世間のオジサンにありそうな姿であるのが、コンビニで買い、店の外でタバコを吸うために、ラッピングの上部とパッケージの紙片を取り除き、その場に捨てたりする。そんな光景を目にしたことがあります。これらの行動に共通することは、不必要な物は捨てる、ということです。至極合理的です。

ゴミを捨てることを客観視する “ソフト” とは

「公共の場で、ゴミをポイ捨てしてはいけません」、「タバコの投げ捨てはやめましょう」、遠足の際などでは、「ゴミを持ち帰りましょう」といった標語が書かれてある、おそらく幼稚園あるいは小学校の児童が描いたであろうポスターが貼られているのを見たことはありませんか? 日本社会では、子どもたちに向けて、上記の標語のような社会的行動規範の基本を説いている、だからその標語のポスターをお絵描きしましょう、ということになっているのだと思います。

つまり、ゴミを捨てることに関する “ソフト” とは、頓着なくゴミを捨ててはいけない、ということでしょう。自分が出したゴミは持ち帰り、自分の住む地域のゴミの日に捨てましょう、ということなのでしょう。言うまでもありません。

ゴミを捨てに関する “ソフト” は何で存在するのか?

ここで目を転じて、人間の排泄物について述べてみたいと思います。
以前、どこかの途上国難民のキャンプ地であったか、ある部族の集落であったかまでは定かではありませんが、コレラのような伝染病が蔓延する状況を、国連のような援助団体が改善を目的に、そこの住人たちに指導したことの記事を読んだことがあります。その指導の肝が、トイレの場所を決め、そこで習慣的にトイレする、ということでした。これで伝染病の罹患率が劇的に減少したということが報じられていました。

つまり、人間が集団生活を営むにあたって、社会を形成し、集落的な形態、あるいは都市的な空間で生活するようになるにつれて、トイレに関する決まりをつくり慣習化させ、公衆衛生を高め、疫病を予防して致死率を下げるために、トイレを慣習化する “ソフト” をインストールしたのだと想像できます。

人間が出すゴミも、目的を果たし終えたという意味で、排泄物と同様に不要となった物です。そうした物を、やはり配慮なく捨てていては、伝染病が蔓延するのと似て、人間にゴミの害悪が降り掛かる状況をつくり出すということです。現代社会は、ゴミ問題が私たちの経済社会の運営に大きな陰を落としている社会と言えそうです。ゴミ処理について、私たち人間は、“ソフト” を改めてインストールし直す時に在るのかもしれません。

プラスチックはなかなか無くならない

ハラの森では、食材の屑、バナナの皮やお茶の葉などをコンポスターで分解させて処分していますが、紙ゴミは分解されて朽ちていく過程を見せますが、プラスチックのゴミは自然界に溶け込むようにして分解されません。読者の方も海や湖沼を訪れた際に、波打ち際にペットボトルやコンビニ袋などが打ち寄せられているのを見た方もおられるでしょう。波際だけではありません。何千メートルの海底でもプラスチックのゴミは発見されています*1。

◯参考写真 

―備考  St.10:ハンバーグのパッケージ。製造年月日の「昭和59年9月」まで確認できる!

*1「房総半島沖の水深6,000m付近の海底から大量のプラスチックごみを発見」―行方不明プラスチックを探しに深海へ―、国立研究開発法人 海洋研究開発機構 

房総半島沖の水深6,000m付近の海底から大量のプラスチックごみを発見―行方不明プラスチックを探しに深海へ―<プレスリリース<海洋研究開発機構 | JAMSTEC

私たち人間は、プラスチックに囲まれた社会を築き上げ、そのプラスチックの害悪に侵される状況をつくってしまっています。私たちの飲料水は川や湖から由来します。そこにプラスチックのゴミがあれば、当然、その害悪を摂取することになります。ぞっとする話です。

今回の話題は、人間が身につけるべき至極基本的な行動、「ゴミを適切に処分する」ということを習慣化できないことから来ています。どうすればいいのでしょうか? 皆さんはすでに答えを知っています。幼児の頃からその答えを教わってきています。

次回は、プラスチックを害悪についての記事にしようと予定しております。では、次回の機会に。ごきげんよう。

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