20240301 ムクロジを初めて知る

SDGs考

はじめに

「ムクロジの木」と聞いて解る方は、どのくらいおられるでしょうか? ハラの森の管理人・筆者は、先日初めて知った次第です。ということで今回は、ムクロジの木のことについて述べてみたいと思います。

ムクロジって聞いたことありますか?

先日といっても節分の頃であったのですが、先の記事で取り上げた「めんどくさいカフェ」で、Sさんがお仲間と主催しているイベント、めんどくさいカフェDx に行ってきました。ハラの森・管理人である筆者が参加したのは2回目でありました。毎回カフェには、テーマがありまして、1回目はイチョウと銀杏(ぎんなん)、そして今回はムクロジでした。カフェのチラシには、ムクロジを漢字で「無患子」と書いてありました。まずもって、「ムクロジの実が云々…」とあって、ムクロジという名を初めて聞いたこともあり、正直なところ、そんなに話題性があるのかなぁ、なんて思いつつ参加したのでありました。

まずはムクロジの実を拾うところから

めんどくさいカフェの今回の企画に惹かれていった要因の一つが、樹木のことを調べている際に、モミジが「ムクロジ科」となっていたことに驚いたことがありした。そうしたこともあり、参加の動機が高まりました。

イベントの場は、東急線の駅・大岡山の駅前にある大学の構内です。キャンパスの一角に高木が茂っている箇所がありまして、そこで企画参加者は、見本のムクロジの実を見て自分で探すという次第でした。

ということで、写真にあるのがムクロジの実がなっている様子です。

実は群集してなる

葉を落としているから落葉広葉樹になります。なるほど、モミジが紅葉してから落葉するのと同様です。30m 近くはあったでしょうか、明らかに高木です。参加されてた家族連れの3 人は、子どもがかなり楽しんでいた様子で70個近く収穫していました。私は、全てで6個でした。

企画のテーマ:ムクロジの実の効用を知る

場所を東京目黒区の地区センターに移動してのワークショップです。めんどくさいカフェですから、まずは定番の、自分で東チモール産のコーヒーを焙煎し淹れて、味わってから、今回の企画の第2弾、ムクロジの実を使っての作業です。

1)ムクロジの実の殻を使う

キッチンバサミを活用して殻を割ってみてください、との指示で、ムクロジの殻をキッチンバサミの柄の部分を使って、硬いもの、例えば、くるみなどを割ったりできる部分を利用して割ります。

イベントの当日に行った際は、パリッと割れたか記憶にはありませんが、今回この記事を書くにあたって、改めて自宅で再現して割ってみると、グニャっとした感じで割れました。殻そのものはスベスベ感はあるのですが、割った部分にはベトッとした感があります。その殻をボールに入れてホイッパーで掻き混ぜると、あ~ら不思議、泡立つではありませんか。

下の写真は、2つの実を割った殻を入れて、2カップのお湯を加えてホイッパーで掻き混ぜた様子です。

泡立ちの感じがつかめるでしょう。強い匂いはありませんが、僅かに甘酸っぱいような匂いがするようなしないような、てな感じです。江戸時代にはムクロジの殻を使って洗濯をしていたのだとか、知りませんでした。正に驚き!です。

洗剤機能としては、人工的な化学物質が含まれていませんから、絹製品のようなデリケート的な衣料には、好都合かもしれないと考えて、
筆者が持つ数少ない絹生地のネックウォーマーを洗濯してみました。

2)ムクロジの種を使う

下の写真に写った種を見て、「あっ、あれだ!」と言える人は、どのくらいおられるでしょうか。これ実は、羽子板の羽根の先の黒い玉です。筆者も羽子板を行っている様子をテレビ映像などで見たことはありますが、実際に経験したことはありません。

ムクロジの黒い種に細工をして羽根をつけて羽根として使われたそうです。この種、羽子板で突き合ったりする際に、「カツッ‐ン、カツッ‐ン」とすることは想像できるような堅い実です。

加工方法するには、実に穴をあけるのです。ワークショップでは、Sさんは、ご自分の手を傷つけながら種の加工法を実践して教えてくれました。それを下記のハラの森で再現しつつお伝えします。

下に掲載した写真を参照しつつ解説をお読みください。殻を割って出てきた実のおしり部分には、亀裂があります。写真で筋が見える部分です。そこをきっかけにして、穴を開けていくのです。ドライバセットの千枚通しのような尖端のキットを、きっかけ部分に突き刺してグリグリしたり、トンカチでトントンしたり、ドリルのキットでまたグリグリしたりして作業を続けます。

種の尻部分に小さい開口部のような所がある。

しばらくすると貫通します。この穴に羽根を挿して糸で固定すれば、羽子板の羽根ができますし、この加工した実を複数集めて、ゴム紐でまとめれば数珠ができあがります。

私たちは先人の知恵を活用できていない

羽子板の羽根の根本はムクロジの実にあること、洗濯石鹸となりうる効能を、多くの現代日本人は、知らないほうが多数派であると思います。もったいない、と思いませんか? ムクロジの実は、「ソープナットシェル」として、Amazonで販売されているほどです。WSで聞いたところでは、世界的にセレブの方々が、健康志向的な考えから採用しているということです。

約100年前より以前日本人であれば、ムクロジを知っている方は多数派であったかもしれません。旧い世代と今日に生活する世代は、世代間のコミュニケーションを取ることがかなり難しくなっている時代になっていると思われます。ということになれば、過去の文献にあたったりすることが必要になってきたり、伝統的な知恵を存続させている地域に出かけて、資料収集や取材が必要となります。まぁ難しいことは考えなくとも、周囲を見回してあなたのご近所に、知恵豊かな爺や婆やを探したり、田舎に暮らすおじいちゃんやおばあちゃんと話す機会をもつことで、ムクロジのような存在を知ることができるかもしれません。それでは、今回はこれぐらいで、ごきげんよう。

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