はじめに
本日はタイトルにある「平戸躑躅」について取り上げます。ハラの森・管理人である筆者は、読めるどころか、この漢字自体を初めて見ました。これ「ヒラドツツジ」と読むのです。ツツジという樹木名は知っていましたが、それにしても難解な漢字です。ま、漢字はさて置き、今回はヒラドツツジについて考えます。
ヒラドツツジとマサキやネズミモチとの違い
このヒラドツツジは、以前に記事で取り上げたマサキやネズミモチに混ざって、生垣を構成しています。で、マサキとネズミモチと葉の色調が異なり、色のみならず、葉の表面の状態が異なっています。2つの種の樹木との違いを見るために、葉の表面の違いを見てみます。
葉の触感も光沢ある照葉樹の葉は “ツルッ” 、 “パリッ”とした感覚があるのと比べて、ツツジは葉に光沢がなくて、表面は、わずかに “ざらっ” としていて、“へにゃ” としてます。前者が「硬め」後者が「柔らかめ」です。
葉の光沢の理由
照葉樹の葉に光沢がある理由は、クチクラが発達しているから、と言及されます。ならば、ヒラドツツジの葉にはクチクラが発達していないということになるのだろうか。ところでクチクラとは何?・・・ウィキペディアに相談してみると、クチクラ Cuticula (ラテン語)、英語では Cuticle となる。「キューティクル」、聞いたことある。以前にシャンプーかリンスのコマーシャルで使われていたことを憶えている。キューティクルとは、葉の表皮細胞のことで、ワックスを掛けたようなツヤはそれが出した分泌物であり、水をはじいたり病原体が侵入するのを防ぐとある。
ヒラドツツジについて言えることは、葉の表皮細胞が光沢を帯びる特性がない。そして、冬に外掃除をしているときにヒラドツツジの葉を掃き集めた記憶がありつつも、全ての枝がむき出しになっていたという記憶もないが・・・照葉樹ではないのだろうが、常緑樹でもない? ・・・いつものように林先生のガイド本を見てみる。何と、「半常緑樹」となっている*1。冬でも半分ほど葉が残るという。それで冬になって、生垣のヒラドツツジの部分がスカスカになるという記憶もないわけだ。確かに葉は少なくなるが、ある程度は残っているから生垣の体裁は保持できるというわけだ。なるほど。ここでヒラドツツジの概要項目を記しておく*2。
- 樹木名:ヒラドツツジ [ 平戸躑躅 ] ; Rhododendron x pulchrum
- 分類:ツツジ科ツツジ属
- 樹高:1〜2mの低木
- 分布:長崎県平戸から広まった雑種由来の栽培品種群
- よく植えられる場所:公園、庭、道路沿いなど
*1; *2 林将之 『葉で見わける樹木』増補改訂版、2010年、小学館
ヒラドツツジの幹
以下に載せたのは、ヒラドツツジを剪定した際に出た株立になっていた一本を根元から2年ほど前に切り出したものです。表面や枝部の切り跡は黒くなってきましたが未だに堅さを保っています。ヒラドツツジは低木ですから丈も大人の胸高ぐらい。そして株立ちですから幹の太さがあっても大人の片手で握れる程度か、それを幾分超えるかというぐらいです。
何かに使えないか、と思わせる要素をもっています。材質は詰まっていて堅いし、表面は滑らかさがある。木屑にしておくにはもったいないという感じがします。
さいごに
ヒラドツツジは「半常緑樹」。冬には、葉を半分ほど枯葉として落としてもう半分を残す。そしてその葉には、照葉樹のように葉に光沢が見られない。筆者が考えるにクチクラ、つまり葉のキューティクルのつくり出す特性が発達していないのではと思われる。断定的なことは言えないのであるが・・・。そしてまた、ヒラドツツジの幹や枝は、材質堅く外側表面が滑らかで、朽ちるには年数が掛かりそうだ。こうした性質は活かすべきだと考えるのであるが、「では何に?」となり、考えが浮かばない。宿題だ・・・。今回はこれぐらいで、ごきげんよう。
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