ハエを見ました
「それが、どうした?」と言われそうですが、本日7月27日、庭で先日剪定した枝の片付けを行っていましたら、ハエを見ました。小さめな縦縞模様でしたからイエバエですかね。スマホで撮ろうと場を離れて戻った時には、すでに飛び去っていました。ちょっと嬉しいです。何年ぶりでしょう、ハエを見たのは。ハエを見て喜んでいるとは変な奴、とキモがられそうですが、そこらへんのことは「虫について考える−2」を読むと事情がお解りいただけると思います。ご一読いただけると幸いです。
樹木の観方
さて、今回の稿で考えてみたいのは、「樹木の観方」です。樹木の名前をまず知り、特性はどのようであるのか、調べて認識するということです。ハラの森の管理人であるわけですから、敷地内に植えられてある木々の名前と特性を理解しておくことは必須事項ではないかと思った次第です。
ということで、その助けとして、林将之著 『葉で見わける樹木』増補改訂版、小学館、2010年 を先日購入しました。この本の特徴は、書名の通り、葉の形で樹木を同定するのです。広葉樹の分類指標は次の4点で特定していきます。
◯広葉樹の場合
- 葉の形態: <単葉>不分裂葉 or 分裂葉 ;<複葉> 掌状(しょうじょう)複葉 or 羽状複葉
- 葉のつき方: 互生 or 対生
- 葉のフチの形態: 鋸歯縁 or 全縁
- 葉の存続: 落葉樹 or 常緑樹
◯針葉樹の場合
- 葉の形態: <単葉> 針状葉 or 鱗状葉
「何事も最初が一番難しい」、そして「理論と現実とのギャップ」をもうすでに実感しております、頭の中は、???がいっぱいです。
この稿の冒頭に掲げてある写真の葉は、密集して葉がついていますが、1枚1枚が独立した構成の葉でありますので「単葉」になります。こういう、葉のつき方であるから、複葉かな? と思ったりしました。同著によりますと、単葉の付け根のところに、「芽があるかないか」が判断基準であるとのことですが、このケースでは、認められませんでした。
次に「葉のつき方」は、互生であるかな、と。右側、左側と交互に葉を出す、互生が明確であるところと、所々に対生のように葉が向かい合ってあるものもありました。理論は現実を全体を明確に捉えてはいない、ということですかね。写真で見られるように、枝先では密集して識別はどうなるのか判りませんが、互生が所々で見られたので、こちらかな、と。
◯葉のつき方
この葉の観方で押さえるべき点は、
- 「葉の形態」:単葉 ;不分裂葉 ー葉が丸っとしている
- 「葉のつき方」:互生
- 「葉のフチの形態」:全縁 ー葉の縁にギザギザがない
- 「葉の存続」:常緑樹ーこの葉は冬にも落ちることなかった
以上5点。
ということで、この木の名は、「トベラ」[ 扉 ]。別名「トビラノキ」[ 扉木 ]。この木の名前の由来は、臭さがある枝を、節分の時に鬼を遠ざけることを意図して、扉に挟んだ故事によります。ということで、葉を割いたり、枝を折ったりして匂いを嗅いでみたのですが、忌避的な匂いは全くありませんでした。時季的なものがあるのか知れません。
このトベラどこから来たのだろう?
実は、このトベラ、管理人の父親が植えていない可能性があるのです。ということは、考えられるのは、鳥が種子を運んできたということになります。
林先生の同著では、分布は「東北地方南部〜沖縄」、そして「海岸の樹林や岩地に」自生し、「道路の植え込み、公園樹、時に庭木」として利用されているとのことです。ここは、海岸からは20km以上離れているし、海岸沿いにあるトベラの種子の系譜とは考え難い。近隣の庭木にあったトベラの種子を鳥が咥えてきたと考えるのが妥当でありそうです。ウィキペディアに記載されているように、殻の中にある赤い種子が露出しますが、これは粘度がありベタベタする感じです。鳥がそれをついばむ。そのようにして種子が運ばれるのではないか、としている。確かに、ハラの森で鳥がくちばしに赤い実をつけているのを見たことがあります。ここにあるトベラの実を食べていたのかも知れません。
樹齢20年ぐらいにはなるだろうか。樹高は、3mに届くか届かないかぐらいである。管理人は、ハラの森を20年近く不在にしていたので、その頃にこのトベラが自生し始めたのかも知れない。時折帰省した時には見ていたはずだが、意識に上ることがありませんでした。
草木の存在の有様って不思議です。いつの間にかそこに在ります。その存在に気がついた時の、その存在の大きいこと大きいこと。時間の蓄積の膨大さからくる迫力がそこに在ります。
こんな出来事がありました。
このトベラの木、今年2023年の初めですが、根元から切ってしまおうかと考えたりしていました。しかし、何と、これを見つけてしまったのです。下の写真を見てください。中央に見える、スズメバチの巣の模様のようにも見えますが、何だと思いますか、これ? ・・・実は、メジロの巣でした。接写したのが後続に掲載した写真です。
4月でしたか、メジロをよく見るなと思っていたら、トベラの葉の合間から巣が見えたのです。日々観察していると、メジロが頭を出してじっとして管理人のことを見つめていました。・・・やがて、雛の鳴き声が聞こえてきて、親鳥が帰ってくると、雛が口を開けている姿が見られたりしました。が、ある日を境に雛の鳴き声も、親鳥の姿も見られなくなりました。そのような事態の10日後ほどして、巣を覗いてみましたが、雛の姿は当然なく、周囲にも落ちた死体もありませんでした。ありそうなことは、カラスが襲ったのではないかということです。ハラの森の周囲にもカラスはたくさんいます。そして、家屋の屋根の棟や軒先に止まり周囲をよく観察しています。残念ですが、仕方がありません。
というようなこともあり、根元から切ることは思い止まっています。この先、やむを得ない事情になれば切ることも考えますが、現時点では切らねばならない状況にはありません。
管理人が子どもであった時分には、父親が庭木を頻繁に持出し、持込みしてましたから、野鳥も巣の候補地とはしなかったのでしょう。しかし、周囲には雑木林も複数あり、鳥たちも人家に近くない場所で営巣したのではないでしょうか。近年カブトムシやクワガタが採れるような雑木林が伐採されてしまいました。鳥も困っているはずです。こうした事情から、植木の手入れが雑然としたハラの森のような場所に野鳥が来ているのでしょうか? そうかも知れないと仮定して、剪定はしても植木を切り倒すことはやめておきましょう。長くなりました。今回はこれぐらいにしましょう。・・・ごきげんよう。
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