はじめに
今回は、生垣にある木が花をつけているので、これについて学んでみます。つけた花はこんな感じです。
最初に新緑鮮やかさを背景に白い姿を見せていたので、目が惹かれてしまいました。白い粒がついている感じで、こんな花もあるのか、と思っていたところ、この粒は蕾であることが判りました。以下のように花開くのです。花びらが見えます。加えてクワガタやカブトムシの触覚のような雄しべが2本突き出ていて、雌しべである柱頭は丈は低く中央に鎮座してます。
まずは同定から
いつも参照する林先生の著書*1で以下の項目で、この樹木を同定してみます。
- 葉の形:不分裂葉
- 葉のつき方:対生
- 葉の縁の形状:全縁
- 落葉樹/常緑樹:常緑樹
判明しました。「ネズミモチ」[ 鼠黐 ] です。
- モクセイ科イボタノキ属の低木
- 根本から分岐し、樹高は2〜5m
- 分布:関東から沖縄
- 暖地の低山に診られ、生垣や公園での植栽利用は一般的
*1 林将之 『葉で見わける樹木』増補改訂版、2010年、小学館
林先生が著書の中で、ネズミモチの名の由来を述べていて、モチノキの葉とネズミモチのそれが似ていること、そして、秋になると果実をつける様子が、ネズミの糞を想起させるということであるからだそうだ。
ちなみに、図鑑の写真にあるモチノキの葉も確かに卵型である。というか、先生曰く、常緑樹は、落葉樹の葉の多様さに比べて、全般的に似たりよったりであるとのことで、確かに、これまで紹介してきたクスノキやキシミも葉は卵状で、全体的な葉の様相は似ているといえば似ている。葉の大きさ、類似の卵型の葉を、ふくらみの部分が歯先に偏っているとか、葉の根元の方であるとか、そうした点を以て特徴とされていた感じがする。
で、ネズミモチとモチノキとの決定的な違いとは:先生曰く、ネズミモチを同定するのは容易であるという。なぜか?ネズミモチの葉に似た樹木は複数あるのだが、このネズミモチの葉のつき方、つまり「互生」であるのは、ネズミモチの分類されるモクセイ科に特徴的であるから。
生垣には適当
樹高が2〜5mで、根元から幹というか、枝が分かれる特徴は、生垣に適当であると思われる。ハラの森にあるネズミモチは生垣を構成していて、その内部はまさに錯綜しているといった感じです。生垣には、以前に紹介したマサキが隣り合っていたりして、生存競争が激しく太陽の光を得ようと必死であるのかもしれません。
で、種々の樹木の茂ろうとすることで、生垣が密度が濃くなる状況がつくられます。結果、通りからの遮蔽的機能を果たしてくれ、他方で低気圧が近づいてきて風が強くなる際には防風の機能が、そしてネズミモチの果実を野鳥たちは好物であるそうで、秋にはやって来て和み機能を醸してくれそうです。
ありがたい存在
以前取り上げたマサキ、今回取り上げたネズミモチ、いずれも垣根を構成してくれているのに、感謝の念を持っていませんでした。新芽が出てくる時候になると、「あ〜っ、また剪定、手入れしなくては」と、厄介な存在であるかのように見ていたことに気がつきます。しかし実際は、生垣の機能や効用を考えると、ハラの森の空間演出、保全に計り知れないほどの恩恵を受けていることが解ります。生垣に守られているからこそ、ハラの森・管理人は癒やされて日々の生活か存続できていると言っても過言ではありません。小型の鳥が訪れてきて、生垣の中に入ったり出たりしている姿に癒やされているのですから。
ということで、今回はこれぐらいで。ごきげんよう。
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