20240629 コンポスト学

SDGs考
◯6月25日ー生ごみに併せて庭の黒土を紙コップ1杯分投入した

はじめに

大仰なタイトルです。大げさとは解っちゃいるんですけど、コンポストを作業的な側面ばかりでなく、大枠の理論から捉える視点も必要であると考えます。ということで、今回はコンポストを基本から理解する一つの機会としたいと思います。

コンポスト compost は「堆肥」と訳されるが、そもそも「堆肥」って何?

以前の何回かの記事の中で、コンポストを作る装置コンポスター composter に日々の生活で出る生ごみを投入し、日々回転させ1ヶ月前後で排出した結果を報告しています。その排出した物質が「堆肥」と紹介していたわけですが、正確には、「堆肥」にはなり得ますが、排出時点では植物に好ましい「堆肥」として使えません。端的に言ってしまうと、「堆肥」というのは農作物や花卉栽培に利用することが多いと思います。ということは作物に益する状態になっていなくてはなりません。ハラの森で毎月排出しているコンポストは、生ごみの分解が不十分で炭素 C を多分に含んでいたりして、畑に散布したすると土中の栄養素と結びついてしまったり、酸素を使ってしまったりして、栽培する作物が生育するのにそれらの要素を奪ってしまって、栽培作物を酸欠にさせたりするわけです。

で、そもそも「堆肥って何よ?」と問われれば、栽培作物の周辺に出た雑草を引き抜いた、葉、茎や根、そして日々の生活で出る生ごみ、ほかにも木屑や樹皮など、こうしたものを発酵、分解させた物などが、「堆肥」の基本材料となったもの、となりますかね。

堅い表現では、「コンポストとは堆肥のことであり、農業廃棄物、畜産廃棄物、汚泥、都市ゴミなど、さまざまな有機物を原料として作られる。古くから農家でつくられている稲わらや家畜糞尿を原料とした堆肥もまたコンポストである。」*1こういうことです。

*1藤田賢二、『コンポスト化技術ー廃棄物有効利用のテクノロジーー』、1993年、技報堂出版株式会社

堆肥も肥料の一種

筆者は、堆肥と肥料の違いをよく認識していませんでした。「化成肥料」という名称の肥料がホームセンターなどで販売されています。それらは確かに肥料ですが、ではどのように理解すればいいのでしょうか?

日本の政府は「肥料法」という法を制定しています。この法では次の三点から肥料を種別しています*2。

  • 植物に栄養を与えるため土壌に施用されるもの:窒素肥料等
  • 植物に栄養を与えるため植物直接に施用されるもの:葉面に散布される肥料
  • 土壌の化学性改善のために土壌に施用されるもの:アルカリ肥料等

植物に栄養を与え、土壌の性質を植物が育つのに好ましい状態にする、という2点を満たす物、それが肥料です。コンポストつまり堆肥もその2つの重要点の機能をするわけですから、肥料の一部です。ちなみに堆肥は、様々な肥料のなかで「特殊肥料」に入ります。米ぬか、魚かす、と同じ部類です。

*2 「肥料の品質と安全性の確保」> 農林水産省

肥料の品質と安全性の確保:農林水産省

堆肥の種類

堆肥にもいろいろありまして、発酵鶏ふん、牛ふん堆肥、バーク堆肥、樹皮を発酵させたバーク堆肥、腐葉土も堆肥です。鶏ふんは養分濃度が高いことで肥料に近い効能があるそうですが、牛ふん堆肥は養分濃度は低いのですが、土壌改良の効能があるとのことです。概して堆肥は、他の一般的な普通の肥料と比べると養分成分の含有度合いが低いのです。でも一方では、土壌を植物の生育に好ましい状態を作り出すので植物栽培には欠かせません。

さいごに

コンポスト、堆肥とは、農業廃棄物、畜産廃棄物、汚泥、都市ゴミなど、さまざまな有機物を原料として作られるのですが、植物栽培に効果あるような状態にするには手間を掛けなければいけません。植物に栄養を与え、土壌の性質を植物が育つのに好ましい状態にする観点からすれば、堆肥は肥料と同様の働きをします。というか、肥料の大きな枠の中に、特殊肥料として堆肥は位置づけられています。

ホームセンターなどで販売されている堆肥や一般的な肥料は、法の規定を守って生産されています。自分の庭やプランターで利用するのであれば問題はありませんが、自分以外の人に自作の堆肥を供与しないようにしましょう。中途半端な状態の堆肥を使った農作物は害毒を含む可能性もありますから、くれぐれも要注意です。それでは、今回はこのぐらいで、ごきげんよう。

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